アラブ圏では、イスラム教に基づく祝祭日や、各国の伝統的なフェスティバルが多彩に開催されます。特にラマダン(رمضان)、イード・アル=フィトル(عيد الفطر)、イード・アル=アドハー(عيد الأضحى)といったイスラムの祝祭日は、多くのアラブ諸国で最も重要な行事とされています。
また、アラブ伝統の音楽や舞踊、歴史的な記念日、国の独立記念日などを祝うイベントも多く、観光客にとっても魅力的な体験となるでしょう。本記事では、アラブ圏で知っておくべき代表的な祝祭日とフェスティバルを紹介し、それぞれの伝統と意味を詳しく解説します。
ラマダン(رمضان) – 信仰と忍耐の月
ラマダンはイスラム暦の第9月にあたる期間で、日の出から日没までの断食が行われます。イスラム教徒にとっては最も神聖な月であり、自己鍛錬、信仰の強化、困っている人々への思いやりが奨励されます。
ラマダンの主な特徴
- 日の出から日没まで飲食禁止:ムスリム(イスラム教徒)は、水を含む飲食を控えます。
- イフタール(إفطار):日没後に行われる食事で、デーツ(ナツメヤシ)やスープで断食を終えるのが一般的です。
- タラウィー(تراويح):夜にモスクで特別な礼拝が行われます。
- 慈善活動(サダカ・ザカート):貧しい人々を助けるための寄付が奨励されます。
イード・アル=フィトル(عيد الفطر) – 断食明けの祝祭
ラマダンが終わると、「イード・アル=フィトル」と呼ばれる盛大な祝祭が3日間にわたって開催されます。これは「断食明けの祭り」を意味し、家族や友人と豪華な食事を楽しみながら祝います。
イード・アル=フィトルの伝統
- モスクでの礼拝:朝、特別な祈りが行われます。
- 新しい服を着る:この日は伝統的に新しい服を身に着けます。
- 家族や友人との集まり:甘いお菓子や料理を楽しみます。
- 寄付と施し:「ザカート・アル=フィトル(寄付)」を行い、困っている人を支援します。
イード・アル=アドハー(عيد الأضحى) – 犠牲祭
イード・アル=アドハーは「犠牲祭」と呼ばれ、イスラム教徒の巡礼(ハッジ)の時期に行われる祝祭です。この祭りは、預言者イブラヒム(アブラハム)が神の命に従い、息子を犠牲にしようとしたことに由来します。
イード・アル=アドハーの伝統
- 動物の犠牲:羊や牛を神に捧げ、その肉を分け合います。
- モスクでの祈り:特別な礼拝が行われます。
- 家族や友人との祝宴:伝統料理を楽しみます。
- 貧しい人への施し:肉の一部は貧しい人々に分配されます。
イスラム新年(الهجرة النبوية)
イスラム新年(ヒジュラ暦新年)は、預言者ムハンマドがメッカからメディナへ移住(ヒジュラ)した出来事を記念する日です。グレゴリオ暦と異なり、イスラム暦は354日で構成されているため、毎年少しずつ前倒しになります。
この日は特に大きな祭典が行われるわけではありませんが、モスクでの祈りや家族との集まりが一般的です。
ナショナル・デー(各国の建国記念日)
アラブ諸国では、それぞれの独立記念日や国家設立の日が祝われます。例えば:
- サウジアラビアのナショナルデー(9月23日)
- アラブ首長国連邦(UAE)のナショナルデー(12月2日)
- エジプト革命記念日(7月23日)
この日には花火、パレード、コンサートなどが開催され、国旗が街中に飾られます。
アラブ伝統のフェスティバル
アラブ圏では、宗教行事以外にもさまざまなフェスティバルが開催されます。
ドバイ・ショッピング・フェスティバル(UAE)
毎年1月に開催され、世界最大級のセールが行われます。観光客にも人気のイベントです。
ジェンナーヘ・フェスティバル(チュニジア)
北アフリカの伝統音楽や舞踊、詩の朗読が楽しめるイベントです。
バーレーン・グランプリ(F1)
F1のバーレーンGPは、中東で開催されるモータースポーツのハイライトのひとつです。